ケアマネなんて儲からん

「現役並み」という言葉を聞くたびにブルーになる低所得のケアマネジャーが日々の苦悩?をつづるブログです

ただ働き・その1 ~申請代行、なぜ無料?

居宅介護支援専門員、通称「ケアマネジャー」は、ただ働きを求められることがよくあります。


その1は、要介護認定の申請代行です。


要介護認定の申請は、介護保険サービスを受けたいと思われた方が、区役所に行って行うことが原則ですが、本人が行けるとは限りませんので、当然のごとく他の人が「申請代行」することができます。


そうしますと、要介護認定の申請は介護保険法に基づく行為ですので、申請代行(または代理申請)できる人は、まず第一に社会保険労務士さん(社労士さん)です。


介護保険は公的社会保険の一つですので、社会保険のことなら社会保険労務士さんの業務独占!ということになるわけです。(社会保険労務士法第2条第1号の2)


実際に社労士さんが申請代行をされているのかはともかく、社労士さんに頼むのであれば、普通、一般の感覚では、「お金がかかる」はずです。お仕事ですから、タダではやらないでしょう。


と・こ・ろ・が


介護保険法は、要介護認定の申請について、指定居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)や、地域包括支援センターが代行できる、としています。(介護保険法第27条第1項)


これに基づいて、各地のケアマネさんは、利用者さんに頼まれると新規だろうと更新だろうと、いそいそと区役所に出かけて行って、代わりに申請をしてくるわけですが、


なぜか、これが無料です。


「ケアマネさんに頼むと無料です」とか書いちゃっている市町村まであります。


社労士さんに頼めば当然有料なのに、ケアマネに頼むと無料で、しかも、多くのケアマネはそれを疑問としていません。
国や市町村から報酬を貰えるんじゃないの?と思われた、そこのアナタ。


ケアマネはケアプランを作ってサービスが動き出さない限り、ビタ一文報酬を貰えません。ケアマネがもらえる報酬は、「給付管理費」という名目の、「各サービス事業者がお報酬を貰う(給付を受ける)ための手続き(管理)をした費用」しかないのです。


ケアプランを作っただけではもらえません。サービスを1回でも使ってもらわないとダメです。


ですので、


・介護保険サービスの利用について相談を受けた(1時間)
・ご自宅に行ってアセスメントをした(移動時間込みで1時間半)
・申請代行をした(1時間)
・アセスメント表やら相談受付票を作った(1時間)
・サービス事業所の見学に付き添った(2時間)
・実際に利用したいサービスが決まったので、ケアプランを作るために詳細なアセスメントを行った(2時間)
・頭を悩ませてケアプランを作った(2時間)
・サービス担当者会議を開催するための調整をした(30分)
・サービス担当者会議を開催した(1時間)


まで、やっておきながら、利用者さんが「やっぱりいいわ」と言った場合、 
 


ケアマネは無報酬です。
11時間がタダ働きです。
 


はっきり言ってバカです。
世の中広しといえども、こんなアホな商売をしているのはケアマネだけだと思います。


でも、多くのケアマネは疑問も抱かずに仕事をしています。
相談料、申請代行料。取っていいと思うんですがね~
お金を取るべきだ!なんていうと、ものすごい目で見られます。
まるで守銭奴のような扱いです。
社労士さんには平気でお金を払うであろう利用者さんにも、有料です、なんて言おうものなら「えっ!?」と言われます。下手するとケアマネ変えられます。
 


業界全体が阿呆なのが一番悪いですが、少なくとも、市町村が公然と「ケアマネは無料です」というのは反則です。
  
 
介護保険制度は、ケアマネの善意を食い物にしている制度だと、つくづく思います。
 


(続くかも)