ケアマネなんて儲からん

「現役並み」という言葉を聞くたびにブルーになる低所得のケアマネジャーが日々の苦悩?をつづるブログです

ケアマネジャーの顧客は誰か

業界のSNSに「ケアマネの顧客は誰か」という投稿があり、それを読んでちょっとしたひらめきがありましたので、備忘録的に。


ケアマネの「顧客」を単純に考えれば、「利用者」であることは間違いないと思います。
しかし、介護保険制度は「介護保険料」「税金」によって支えられておりますので、顧客を「保険者」「納税者」と考える視点も必要な気がします。


つまり、通常のサービス業では、「客」はサービス料金の10割を直接「サービス提供者」に支払います。
1対1の関係です。


しかし、介護保険に基づく介護サービス業では、「利用者」はサービス料金の一定額(1割~3割)しか直接「サービス提供者」に支払いません。
他の誰かが残りの分を支払っている以上、1対1の関係ではないわけです。


そうしますと、必然的にその「誰か」の存在を無視して業務を行うことはできなくなります。


いわば「スポンサー」のような位置づけでしょうか。


1割ないし3割を支払う利用者と、7割ないし9割を支払うスポンサーであれば、どちらをより大切にしなければならないかは一目瞭然。


それゆえ、我々介護保険サービスに携わる者は、「保険者」や「納税者」の意向を無視して仕事をするわけにはいきません。


今朝のミーティングでも、訪問介護の責任者から「利用者がヘルパーに対する不満ばかりを口にして、自らは動こうとしない。『お金を払っているのだから、やってもらって当然』『わたしは保険料を○○円払っているのよ』と、制度を理解しようとしない」という報告がありましたが、
こういった利用者に対しては、1対1ではない「誰か」について丁寧に説明を重ねていく必要があります。


介護保険制度は、お手伝いさんを自由に使える制度ではないのだ、と。
介護保険制度は、他の大勢によって支えられている制度なのだ、と。
その人たちのことまで考えて大事に利用し、守っていかなければならない制度なのだ、と。


それを伝えるのは至難の業ですが、伝えることを怠ってはならないのだと、改めて思う次第です。


制度に携わるケアマネジャーも介護職も、そのことを肝に銘じて行動しなければならない。


とはいえ、スポンサー(国や保険者)の言いなりになっていれば良いかと言われれば、もちろんそんなことはありません。
利用者も1割ないし3割の利用料金を支払っていると同時に保険者の一員であり、納税者です。


スポンサーの意向に沿いつつ、利用者のニーズを最大限叶える努力をしていくことは、サービス事業者の責務と考えます。


国や保険者の意向(法や運営基準、実地指導等)に従いつつ、それに抵触しない範囲で最大限のサービスを提供する。


忘れてはならない視点だ、と改めて思った次第です。