認定調査でよくある勘違い
今日の内容は認定調査です。
・認定調査の基本調査項目は、一般の感覚とズレがある
・強い痛みや重い病気があったとしても、要介護度が高くなるとは限らない
について、書いてみたいと思います。
要介護認定は、
・認定調査員による基本調査と主治医の意見書に基づく1次判定
と、
・認定調査の特記事項と主治医意見書を基にした「介護認定審査会」による2次判定
という、2段階を経て行われます。
1次判定はコンピューター審査で、慣れている人は調査結果を見ればある程度の要介護度を予測することができます。インターネット上にもシミュレーターが公開されており、基本調査結果を入力すると予測が表示されたりします。
今回お話するのは、この「基本調査結果」の部分です。
いわゆる認定調査の基本部分となる箇所ですが、これについては、内容を知らないと「ちょっとずれてるのでは?」「こんなので正確に介護の手間を判定できるのか?」という疑問が生じるかもしれません。
全部を挙げるとキリがないので興味ある方は「認定調査 項目」で検索していただくとして、
例えば「1-7歩行」という項目があるのですが、これはなんと、5メートル程度歩ければ「できる」になってしまうという、一般の感覚からすると「え~~???」と思われる結果になりやすい項目かもしれません。
こんなに歩けないのに~~~~!!!
もう全然歩けなくなって!!!
と、フツーの人が言う場合、おそらくその感覚は、
「今までのように」<長い距離を>歩けなくなった。
「今までのように」<速く>歩けなくなった。
「今までのように」<ふらつかずに>歩けなくなった。
というもので、それゆえに、
<今までのように歩けなくなったのだから、要介護になるはず>
という感覚になってしまうのも分かる気がいたします。
が、しかし。認定調査では5メートル歩ければよいので、多少のふらつきがあっても部屋の端から端まで杖を使わずに歩けてしまいますと、「1-7 歩行」は「つかまらないでできる」。つまり、<自立>と判断されてしまいます。
「1-1 麻痺」や「1-2 拘縮」についても、「痛くて上がらないのよ~~~」「肩が上がらなくて高いところに手が届かないのよ~~~」という嘆きを聞くことが多々ありますが、
認定調査では<90度上がればよい>ので、肩まで上がると麻痺や可動制限は「ない」になってしまいます。
また、よく聞く嘆きとして、「こんなに病気がたくさんあるのに、どうして要支援なのよ~~~~」というものがありますが、
認定調査の基本調査項目には病気の欄がありませんので、病気がいくらたくさんあろうとも、認定調査自体に関しては全く影響いたしません。
認定調査で重要なのは、<病気の結果、何ができないか>であって、どんな病気を持っているか、は正直なところ関係ないわけです。
パーキンソン病なら歩行が難しいかな~とか、がん末期なら起き上がりはどうかな~とか、脳梗塞なら麻痺があるかな~とか、病名を見れば思わなくはありませんが、認定調査の際には、むしろ先入観を捨てて現状を把握することが認定調査員には求められます。
要支援の方ですと、かかっていない科はない!というくらい、内科、眼科、耳鼻科、皮膚科、整形外科、歯科と、日々病院巡りをしている方もいらっしゃいますが、
それで日常生活に支障がなければ、認定調査には影響しないわけです。
と、書くと、「支障あるわよ!」「病院めぐりばっかりで家のことができないのよ!」「あちこち痛くてつらいのよ!」「夜眠れないから、昼寝ばっかりしちゃうのよ!」等々、あれこれ言われてしまい、
挙句の果ては殺し文句として、
「あの人が要介護なのに、どうしてわたしが要支援なのよ!!!」
が、飛び出すわけですが、
でもね~
って感じで、まあ、それだけ喋れれば元気ということで、となってしまうわけです。
そんなわけで、
・認定調査の基本調査項目は、一般の感覚とズレがある
・強い痛みや重い病気があったとしても、要介護度が高くなるとは限らない
わけですが、よくある勘違いと言いますか、あらぬ批判といたしまして、
・要介護が出ないのはケアマネが悪い
・主治医に頼めば要介護が出る
というものがあります。
が、しかし、これまで書いてきましたように、病気の重さや痛みの程度と要介護度はイコールではなく、直ちに結びつくとは限りませんので、
主治医がいくら「この病気なら要介護が出るよ」と言ったところで、認定調査の基本調査項目で自立度が高い結果となっていれば、望むような要介護度は出ないことになります。
1次判定、2次判定で主治医の意見書は基礎になりますので、影響力はもちろんあるのですが、例えば認定調査の結果が要支援1なのに、主治医の意見書があるから要介護3になる、ということは、まずあり得ないと思われます。
思われます、というのは、政治力が働かないともいえないので、というわけですが…。まあ、どこの世界にも抜け道というものは…。いやいや、ごにょごにょ。
そんなわけで、ケアマネに頼んでも主治医に頼んでも、状態に比して要介護度が重く出ることは通常ないのですが、
上でも書きましたように、「通常」なのであって、認定調査の結果と主治医の意見書の双方をいじることができるならば、まあ、その、なんといいますか、そういう結果を出すことが不可能かといわれると、そういうわけでもないわけです。
つまり、何が言いたいかと申しますと、包むなら医者だけでなく…え?いや、わたくしは何も。え?ちょっと署まで来てほしい?いや、まだ、うちは何も…
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