ケアマネなんて儲からん

「現役並み」という言葉を聞くたびにブルーになる低所得のケアマネジャーが日々の苦悩?をつづるブログです

主任ケアマネ受講要件のおかしさ

中小の居宅介護支援事業所は、現在、管理者を主任介護支援専門員に限る、とする、
いわゆる「管理者主マネ問題」に振り回されています。


この要件は、主マネを配置できていない事業所が多いことから、先日「3年間の猶予期間延長」が決まりましたが、延長されただけで撤回されたわけではありません。


この「管理者主マネ問題」。何が問題かといいますと、都道府県によって程度の差はあれども、おおむね、主任ケアマネジャーの講習を受けるためには、


・ケアマネジャーを<常勤専従で><5年間>経験する必要がある


にもかかわらず、


・2018年に「管理者=主マネ限定」が決定されてから、猶予期間が<3年>しかなかった


ことが大きな問題となりました。


主マネになるのに5年かかるのに、猶予期間は3年。
主マネが一人しかいない事業所で、他のケアマネの経験年数が2年未満だとしたら、
その主マネがいなくなったらどうなるのか。


小学生でも分かる計算を、制度設計者はできなかったところに批判が集まりました。


おそらく制度設計者あるいは制度提言者としては、3年あれば半分以上が主任になるだろう、とでも思ったのかもしれませんが、ただでさえ5年ごとの更新が義務付けられているケアマネジャー。


それにプラスして主任ケアマネジャーの研修を受講しなければならないなど、どこの誰が好き好んでいくと思ったのでしょうか。


金集め以外に考えることは無いのか、と情けなくなりますが、もっと情けないのは、「管理者=主マネ」の旗振り役が、我らが介護支援専門員協会であるということ。


<質の向上>を合言葉に、一兵卒のケアマネから搾取することしか考えていないのではないかと疑いたくなるレベルです。


なぜ、管理者が主任ケアマネジャーである必要があるのでしょうか。
主任ケアマネジャーの講習は、<管理業務>を身に付けるものとなっているのでしょうか。
ケアマネジメントスキルが高ければ、管理スキルも高いのでしょうか。


現在の主マネ講習では、ケアマネジメントスキルの向上に主眼が置かれており、管理スキルについてはほとんど触れられることがありません。


それなのに、主マネであることを求める。


介護支援専門員の受験資格を国家資格保有者に限るとしたことで、受験者数は大幅に減少し、合格者もそれに伴って大幅に少なくなりました。


介護支援専門員、すなわちケアマネジャーは、<介護支援専門員研修受講試験>に合格した後、<介護支援専門員研修>を受講して、はじめて業務に就くことができます。


ですので、合格者が減れば、講習受講者は減るわけです。


その穴埋めを、主マネ要件を設けることで行った。
介護支援専門員研修の受講者が減った代わりに、主任介護支援専門員研修の受講者を増やし、帳尻を合わせる。


そう思われても仕方ありません。


なぜなら、今の主任介護支援専門員講習は、管理者スキルを磨くための研修ではないからです。


それゆえ、わたくしは、<現行の制度下では>管理者を主マネに限定することには反対です。


しかし、散々書いてきてなんですが、管理者要件を主任ケアマネにすること自体は別に良いと思うのです。


<管理者と一兵卒では保有資格が異なる>


それだけ見れば、別におかしくありません。


ただ、管理者を主マネに限定したいのであれば、主任ケアマネを「ケアマネであれば誰でも取得できる資格」にすることを前提にするべきだと思っています。


現在のように、5年しばり、常勤専従しばりがありますと、
例えば


・他業界、他職種での管理業務経験がある
・30代~40代前半と伸び盛り
・介護業界に入ってすぐに社会福祉士や介護福祉士を取得
・在宅の他職種(訪問介護や通所介護)で管理者、責任者、相談員経験がある
・5年の最短コースでケアマネジャーを一発合格


というような人でも、5年待たなければ主マネになれません。(主マネ研修を受講できません)


これは事業所にとっても、業界全体にとっても大きな損失です。
そういう才能を、5年も無駄に潰さなければならない。
大きな事業所であれば「リーダー」とか「班長」といった役職には就けるでしょうが、場合によっては、


<管理者より優秀な一兵卒>
<管理者より優秀なリーダー>


がいることになるわけです。
これはお互いにとって辛い。自分より優秀な部下がいるのも辛いし、阿呆な上司がいるのも辛い。
事業所や運営法人としても「適材適所ができていない」ことになります。


ケアマネまで5年、主マネまで5年。というのは、新卒で福祉業界に入ったような人を念頭におけば、あながち間違ってもいない考えかな、とは思います。
23歳で福祉業界に入れば、33歳で管理者。悪くない流れです。


しかし、現実は違う。


ケアマネの多くは30代以上で、既に十分なキャリアを積んだ人たちばかりです。


その人たちに、一体なぜ、更に5年もの歳月を必要とさせるのでしょう。


わたくし、自惚れではなく5年も要りません。1年あれば十分です。
介護業界に、在宅サービスに、その前から5年以上携わっているのですから。


そう、せいぜい1年。1年以上の経験で、主マネを受験させるべきだと思います。
それなら納得できる。


制度設計者に声を大にして問い詰めたいところですが、
こういったことを提言できない「上」の連中にはほとほとうんざりしています。


こんなことでは、他業種から「第二のキャリア」として転職してくる人は現れないでしょう。
だって、キャリアアップにならないんですから。


ただでさえ給料が低いのに、どんなにキャリアがあっても一兵卒からやり直し、才能云々にかかわらず10年待て、ではアホらしくてやってられません。





太平洋戦争の敗因の一つに、軍の「年功序列」があったのではないか、との指摘があると聞いています。


日本軍は学歴と年功で階級が決まるので、上に行くほどバカが増える。
アメリカ軍は能力に階級が付与されるので、上に行くほど優秀になる。


現場を知らない大卒のキャリアが将校の座を占めて、組織防衛に命をかければ、どんな戦争にも負けるでしょう。
どれだけ兵士が勇猛でも、士官が有能でも、作戦自体がドあほうなら、最初から勝負は見えています。





介護保険制度はどうなのでしょう。





厚労省のお役人は?
業界団体のお歴々は?




我が事業所が「玉砕」する日は、介護保険制度が「焦土と化す」日は、もうそう遠くない未来なのかもしれません。