巷で話題の「押印廃止」。
介護業界でも「契約書」、「重要事項説明書」まで押印不要とするおかしな流れになっています。
おかしな、と書きましたのは、
そもそも契約書や重要事項説明書に「記名押印」や「署名捺印」が求められているのは、
利用者の同意を証明するためだからです。
逆にいえば、同意があったことを証明さえできれば、
そもそも「押印」など無くても良いのです。
現在、行政のやっていること、やろうとしていることは、
<形式的に求めていた押印を廃止すること>であって、
<<<<同意の証明を不要にすることではありません>>>>>
ここは極めて重要でして、
押印を廃止するならば、
<事業者としては利用者の同意を得たことを別の手段で証明する必要>が生じます。
それが電子署名であったり、経過記録への詳細な記録であったり、
「別紙同意書」の作成であったりします。
どの手法を用いるかは事業所次第ですが、
どの手法をとるにせよ契約書や重要事項説明書から押印欄を無くすならば、
利用者の家族から「親にきちんと説明したのか!」「同意を得て申請をしたのか!」と追及された時、
「記名のみの文書」で<<<<あなたは納得するのか>>>>
ということを考えて行動する必要があると思います。
本来、行政の行おうとしている「押印廃止」は、<無駄な手続きの廃止>だったはずです。
ところが、なぜか何が何でもハンコを廃止しようという流れになっている。
この流れは間違っていると思います。
同意の証明がハンコで済むならこれほど楽なことはありません。
ハンコを貰うためだけの仕事が無駄だっただけで、ハンコ自体は無駄ではなかったはずです。
そんなことも分からない国が「押印廃止」を進めている。
不動産売買の契約に記名だけしかなかったら信用できますか?
実印を押しませんか?
生命保険の契約書に記名だけしかなかったら信用できますか?
署名捺印しませんか?
押印をしたからといって責められることはありませんが、
押印がなかったがために家族とトラブルになっても、
国は守ってくれないですよ。絶対に。