ケアマネなんて儲からん

「現役並み」という言葉を聞くたびにブルーになる低所得のケアマネジャーが日々の苦悩?をつづるブログです

燃え尽き症候群を防ぐには

ケアマネ業務は「相談援助」業務ですから、「立ち位置」を誤ると<何もかもうまくいかない症候群>や<燃え尽き症候群>になりやすい職業なのではないかと思います。


こう書くと語弊があるかもしれませんが、ケアマネジャーにできることなど、たかが知れております。
そんなに立派な職業ではありません。
ケアマネジャーは、ただ、利用者さんの望む生活を、「介護保険」という「道具」を使って、ほんの少しだけお手伝いするだけです。


利用者さんの人生のすべてを支えることなどできません。
介護保険という道具では、利用者さんの望みをすべて叶えることなどできません。


ケアマネジャーが関われるのは、利用者さんの人生の、ほんの一コマです。


利用者さんのすべてを支えようとすると、逆に利用者さんの人生に翻弄され、重圧に潰され、息抜きをする暇もなくなり、疲れ果ててしまいます。


では、どうすればよいか。


以下は前回のテーマである「欲張らない才能」と内容が酷似しますが、
燃え尽き症候群を防ぐためには、自分ができる限界を知ることがまず大切です。


その上で、できないことをどうするか。


できないことを悔やむのではなく、できないことまでしようとするのではなく、


<自分ができないことは、『それができる他人』に、自分に代わってやってもらう>


この発想が大切なのではないかと思います。


医療なら医師、看護師に。
リハビリなら理学療法士、作業療法士、言語聴覚士に。


介護なら介護職に。訪問介護のサ責であったり、通所介護の生活相談員であったり。
財産管理なら役所に。弁護士などの法律職や社会福祉士に。
生活の安全なら警備会社に。


死後の財産管理や後見、遺言の相談もあるかもしれません。
親族同士がもめているかもしれません。そんなときは法律職に。


そのすべての知識をケアマネジャーが持つことなど不可能ですし、
そのすべてをケアマネジャーが解決することもまた不可能です。


ですから、専門職の知り合いを増やす。
知識は彼らが伝えればよいのです。
問題は彼らが解決すればよいのです。


ケアマネジャーは、「どのときに」「どの武器が使えるか」を知っていれば良い。


自分が分からないとき、できないことがあるとき、陥りがちな思考として、


「分からないものがなくなるまで勉強しなければならない」
「できないことがなくなるまで経験を積まなければならない」


というものがあります。


ですが、そんなことは不可能です。
人は神様ではありません。万能な人間は存在しません。



「何か困っていることはありますか?」
「それでしたら、○○に聞いてみると良いかもですね。どこどこに行くと相談に乗ってくれるかもですよ」
「あ、それでしたら、介護保険使えますね。手配しましょうか?聞いてみますよ」



ケアマネジャーの役割は、それで十分なのではないでしょうか。


相談の窓口になる。この人に聞けば、「この人が解決してくれなくても、解決できる可能性のある方法を何かしら答えてくれる」



どの専門職がどのようなことをしてくれるのか。
それを答えられるだけで、「なんでも知っている人」になれるものです。



利用者に聞かれて、分からなかったら魔法の言葉があります。





「すぐに調べてご連絡いたします」





連絡が早ければ早いほど、「調べて答えただけ」で、評価は格段に上がることでしょう(伝え方も大切ですが)


ケアマネジャーは<プランナー>です。
計画を立てるだけ。実行するのは他人です。



利用者さんの望みが読み取りやすい計画が立てられるように。
その計画を読んだ人が動きやすいように。




よき実行役を多く味方にすることで、自分は自分自身を守る意味で楽をしつつ、利用者さんの願いをかなえていきましょう。

欲張らない才能

悩み多き人、それも業務に対して能力不足や知識不足に悩んでいる人を見ると、



偉いな



と思います。



な~んて書くと、おそらく語弊があると思いますが、わたくしもかつて学生だった頃、壁にぶち当たったことがあります。
おこがましい言い方ながら、それまではわたくし、「学問」という分野に関して、自分の才能を疑ったことはおそらく一度もなかったのですが、(ただし数学を除く)


いやいや、世の中は広い。


世の中には天才と呼ばれる人間がゴロゴロ転がっていて、そんじょそこらの努力ではどうにもならない壁がある、と思い知らされました。




んで、努力を怠ったら自分を見失ってニートになったわけですが。




5年ばかりのブランクを経て「自分」を自覚し、自分はこんなもんだろう、と納得してから、「能力不足」に悩まなくなった気がします。


自分で自分の限界に線を引いたわけではありません。
努力をしなくなったわけでもありません。


うまく伝えられないかもしれませんが、「欲張らなくなった」という感覚でしょうか。




今、自分にできる最大限を行う。


それで十分。高望みはしないし、今できないものは「できない」と認める。
自分に嘘をつかず、ごまかさず、「できないものはできないと言える」。




それができるようになったら、楽になった気がします。




能力が無いものは無い。知識が無いものは無い。


今は、無い。


「今は」、無いのです。あくまで、「今は」。




今は無いだけで、将来も無いとは限らない。


能力は経験が補い、知識は年数が補う。


能力が無ければ繰り返し経験すればいい。
知識が無ければ繰り返し学べばいい。


亀の甲より年の功、という言葉があるように、そのうちなんとかなるものです。




ただし、絶対に言ってはいけないのは、お客様に対して「初心者なので」「経験が浅いので」というセリフです。


相手にとって、そんなことは関係ありません。初心者なら安くなるのか。経験が浅いなら値引きがあるのか。


無いならば、言ってはならない台詞です。




言い訳をせず、


「すいません。分かりません。事務所に帰って調べてすぐにお返事いたします」
「すいません。今、事務所に連絡して確認していいですか?」
「申し訳ありません。直ちに調べるのでお待ちください」


それで良いと思うのです。




人は天才として生を受けたのでない限り、全知全能ではないのですから、「知らないことが多いほうが当たり前」なのです。


それを恥ずかしいと思う必要なんてない。当たり前なのですから。


調べて答えれば良いのです。


知らないことを知っているふりをするほうが、
知らないことをごまかすほうが、
知らないことをそのままにするほうが、


よっぽど恥ずかしいことだと思います。




スマホが手元にあるって、ホントに便利だな、と思います。
その場で調べて回答できますので。
利用者さんから信頼を勝ち取るには、回答の速度が重要です。
即座に調べて回答すれば、「なんでも答えてくれる人」と思ってもらえます。




重要なのは、「なんでも知っている人」ではなく、「なんでも答えてくれる人」なのだと思います。




ケアマネ業務に関連する知識量は、介護業界の中では群を抜いて多いでしょう。


ですが、各種サービスの各種加算をすべて覚える必要なんてありませんし、
利用者さんを取り巻くあらゆるサービスについて熟知する必要もありません。


どのような居宅サービスを利用すれば、その利用者のニーズに応えるプランを作成できるか。


その1点に力を注ぎ、アセスメントとモニタリングを繰り返し、利用者との信頼関係を築いてサービス事業者との連絡調整を行っていく。




そこに加算の知識など必要ありません。
加算が「ない」と思っていると問題ですが、あれこれある、と知っていれば、


「どんな加算があるか事業所に聞いて確認しときますね」


と答えられます。細かいことはサービス事業者に任せればよく、ケアマネとしてはそれで十分なはずです。




取り巻くサービスについても同じです。


なんかあったな、で全く問題ないはずです。


なんかあったな、それはどこどこの管轄だな、窓口はどこどこだな、と分かっていれば、「それは○○で聞くと教えてもらえますよ」と<答える>ことができます。餅は餅屋に任せればよいのです。




なんでも答えられる人が、なんでも知っているわけではありません。


でも、なんでも知っていなくても、なんでも答えられる。調べれば、答えられる。




そのうち調べなくても答えられるようになったら、もっと仕事が楽になるのかもしれませんが、


なにしろ制度はコロコロ変わりますからね~




すべて知る、は確かに理想ですが、それはよほどの天才でなければ無理でしょう。


凡人は調べて答えればよい。




そう割り切れば、もしかしたら楽に生きることができるかもしれません。




もしかしたら、ですけどね♪

無料奉仕の報い

世の中、ケアマネをなんだと思っているのでしょう。
利用者さんも分かってないと思いますが、世間はもっと分かっていない。


かくいうケアマネ自身も迷走している気がします。
なので、ケアマネの業務範囲は?という疑問が出たりする。


本来、業務というのは明確なはずです。
通常の民間企業であれば定款に明記されているはずですし、内規なども多数あるでしょう。


では、法律に基づいた職種はどうでしょう。
法律で業務内容が定められている職種としては、


・医師=医業(医師法)
・看護師=医師の指示を受けて行う療養上の世話又は診療の補助(保健師助産師看護師法)
・弁護士=訴訟事件等の法律事務(弁護士法)
・司法書士=登記手続きの代理等(司法書士法)
・行政書士=官公署に提出する書類の作成および提出代理等(行政書士法)


等があり、他にも弁理士法、社会保険労務士法等々ありますが、


これらの士業あるいは「師」の付く業務についている方々に「あなたの業務範囲は?」と尋ねたら、よほどの人でなければ自分の業務範囲を即答するでしょう。


「いや~、難しいです」
「とても広いんです」


などとお客様に答える人はどうでしょう。信頼できますか?


ところがケアマネジャーからは、「自分たちの業務範囲はどこまででしょう」という質問が出る。
これは他士業の人にとっては「愚問」なのではないでしょうか。


本来、ケアマネジャーは介護保険法に基づく職種である以上、その範囲は介護保険法に明記されており、明確なはずなのです。


つまり、介護保険法では、第7条第5項において「介護支援専門員」の定義を、


「この法律において『介護支援専門員』とは、要介護者又は要支援者…からの相談に応じ、…その心身の状況等に応じ適切な居宅サービス…を利用できるよう市町村、居宅サービス事業を行う者…等との連絡調整等を行う者」(…は「中略」)


と定めており、ケアマネジャーの役割は実に明確なのです。


<利用者さんの相談に応じて、心身の状況に応じて適切な介護サービスが利用できるよう連絡調整を行う>


ゆえに、インテーク、アセスメント、ニーズの抽出、プランニング、担当者会議の開催、モニタリング、再アセスメント、連絡調整、といったいわゆる「一連の流れ」が導かれるわけです。


つまり、それ以上でも、それ以下でもない。あとは認定申請の代行権が認められているだけです。


これで必要十分なはずなのです。介護サービスの利用についての専門職なのですから、医療やら生活保護やら年金やら税金やら障がいサービスやらは、明確に「業務外」なのです。




なのに、なぜか引き受ける。なんでも屋になっている。




とはいえ、これは個々のケアマネジャーの問題ではないと思います。
業界全体がそうなっている。それが問題です。




果たしてこの業界は、何を目指して、どこに向かって走っているのでしょう。


ただ働きを何でも引き受けた結果が、今の「ケアマネジャーの立ち位置」をかえって不安定なものにしている気がします。
他業との「協同」も考えてないですし。


せめて報酬を得て業務範囲を拡げていれば良かったものを、今さら有料化はできないでしょう。
というより、業務範囲を拡げるには、本来であれば法改正が必要なはずですよね。
根本が間違っている。




先日、某職能団体の研修に出席したのですが、そこで講師が「最初に安売りするな!後から料金は上げられない。あなたが最初に1万円と言ったら、次のお客さんも『1万円でやってくれるんでしょ?』と来る。次のお客さんから3万にはできない。それをやったら仕事がなくなる」


と言っていましたが、まさにそのとおり。
今さら相談料を取れば客はいなくなるし、代行手数料を取れば「あの事業所はぼったくり」と言われるだけ。


業界全体で変えるしかないのですが、現状は…





ケアマネになったら協会に入って改革を、とも思ってはいたのですが、「主マネ」問題でわたくし、9割がたやる気を喪失しつつあります。


自分がそう、とは言いませんが、有能な若手を即戦力で使えない業界に未来はありません。





せめて主マネ要件を白紙に戻してくれればな~





5年後に、ケアマネを続けている自信は、今のわたくしにはありません…